そもそもこういったことが許されるのか?

何年前だったか、円谷プロダクションが1966年当時モノクロで放送されていた(ウルトラシリーズの原点とでもいうべき特撮番組である)「ウルトラQ」を最新技術を使ってカラー化して「総天然色ウルトラQ」として販売したことがありましたが、それを個人でやるとこういったことになる、と言うお話。

「モノクロ映画「ゴジラ」を無断でカラー化、海賊版DVD販売の疑いで男逮捕…AI悪用し着色か」
https://www.yomiuri.co.jp/national/20250617-OYT1T50062/
「【速報】「AIで白黒名作映画をカラー化」うたい1954年の『ゴジラ』を無断販売の疑い 男を逮捕」
https://news.yahoo.co.jp/articles/3404b67dfc2af5902d89e51ec29c72e8b9a3dfe5

実は1994年に公開された映画「ゴジラVSスペースゴジラ」の本編終了後に上映された「ゴジラ7」(次回作「ゴジラVSデストロイア」の仮題)の特報が流れたときにカラー化された1954年の第1作(これと翌年の「ゴジラの逆襲」の2作がモノクロ)の最後のシーンが流れたのですが(この特報は確か「VSスペースゴジラ」のDVDに収録されている)、あれは当時結構大変だったという話ですからね。それから30年経って個人でこんなことができるくらいAIと言うのが発達したのか、と思いますが、当然のことながら感心しちゃいけないんですよね。

実は今回の事件の容疑者がDVD販売に利用したと思われるHPがまだ残っているのですが、そこで「パブリックドメインの作品をAIでカラー化した」と言っているんですよね。でも見た限り中には「どう考えたってパブリックドメインではないだろう」と言う作品もあったし(見た限り「パブリックドメイン」や著作権法の解釈が間違っているような気がするんだが)、何よりもゴジラはまだパブリックドメインになっていませんからね(もっとも早くて2031年だとか)。それにもAIによってカラー化する、と言う形が実現したとしても、それは例えば「ゴジラ」だったとしたらゴジラの制作会社である東宝がリードして行う作業であり、少なくとも一個人がやってはいけないことだと思うのですが(ましてや海外の作品となると、ねえ)。

まあ、いずれにせよ「ゴジラ」に限った話ではありませんが、こういった「一個人が勝手にカラー化してそのDVDを販売する」ことは映画そのものに対してもものすごく失礼な行為である、と管理人は思います。

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